こんばんは、アローです^^
決算整理深掘りの続き。
現金主義に基づいている状態で期中の処理を行なっている収益・費用について、下記の4パターンの状態で決算整理を迎えた場合、発生主義に修正してあげる決算整理仕訳をしなくてはならない。
- 収益の未収(みしゅう) : 当期に役務を提供したが、その分の代金を受け取っていない状態
- 費用の未払(みばらい) : 当期に提供を受けたが、その分の代金を支払っていない状態
- 収益の前受(まえうけ) : 翌期に提供予定の役務の分について、先に代金を受け取った状態
- 費用の前払(まえばらい): 翌期に提供を受ける予定の分について、先に代金を支払った状態
そして、当期の決算整理時に仕訳したこれらは、翌期首に再振替してあげる。
前回、収益の未収と費用の未払を勉強したので、今回は収益の前受と費用の前払について。
収益の前受
収益の前受 : 翌期に提供予定の役務の分について、先に代金を受け取った状態
簡単な表現にすると、サービスはまだ提供していないのに先に代金だけ受け取ってしまった場合のこと。
これは翌期の収益であって当期の収益ではないので、下記のように処理する。
期末に収益の前受額がある場合の処理
⑴翌期に提供予定の役務の金額を計算
⑵当期の収益から減額するとともに前受収益(負債:後日サービスを提供する義務)勘定を計上
⑶負債の科目なので翌期に繰り越されるため、翌期首に再振替を行う(⑵の反対仕訳)
この一連の処理は、収益を翌期に繰り延べているので「収益の繰延(くりのべ)」と言う。
【例題1】次の取引を仕訳し、前受手数料勘定の総勘定元帳を締め切りなさい。
3月31日 本日決算日、受取手数料100,000円のうち、25,000円は翌期の分である。
4月1日 翌期首、前受手数料勘定の残高を受取手数料勘定へ再振替する。
【解答】
翌期の収益であって、今期ではない。
■仕訳
■総勘定元帳
前受手数料は負債なので次期繰越となる。
費用の前払
費用の前払: 翌期に提供を受ける予定の分について、先に代金を支払った状態
簡単な表現にすると、先に代金は払ったけど(翌期分)、サービスはまだ受けていない場合のこと。
これは翌期の費用であって当期の費用ではないので、下記のように処理する。
期末に費用の前払額がある場合の処理
⑴翌期に提供を受ける予定の役務の金額を計算
⑵当期の費用から減額するとともに前払費用(資産:後日サービスを受ける権利)勘定を計上
⑶資産科目なので翌期に繰り越され、翌期首に再振替を行う(⑵の反対仕訳)
この一連の処理は、費用を翌期に繰り延べているので「費用の繰延(くりのべ)」と言う。
【例題2】次の取引を仕訳し、支払家賃勘定・前払家賃勘定の総勘定元帳を締め切りなさい。
2021年12月1日 先半年分の家賃600,000円(12月1日〜5月31日の分)を現金で支払った。
2022年3月31日 本日決算日。支払家賃について前払分を計上する。
2022年4月1日 再振替する。
【解答】
12月1日に先の半年分を払っているが、うち4ヶ月(12/1~3/31)は当期分、2ヶ月分(4/1~5/31)は翌期分となる。この2ヶ月分は当期に現金を支払っているがサービスを受けるのは翌期のため、当期の費用を減額し、前払家賃(資産)として計上し、翌期に繰り越さなくてはならない。
■仕訳
■総勘定元帳
前払家賃は資産なので次期繰越となる。
2回に分けて未収・未払・前受・前払を勉強してきたが、ちゃんと意味を理解していれば、問題のパターンは同じなので数をこなせばそのうちできるようになるはず!
ちゃんと意味を理解して、問題が解けるようになってくると、だんだん簿記が楽しくなってくる^^
未収・未払・前受・前払については、ほぼ確実に試験に出るので、次回もう少しひねった例題を解いていく。
それではみなさん、ご安全に!