【簿記3級】㉜売上原価の計算(仕入勘定)

こんばんは、アローです^^

 

 

まだ決算整理の内容。

今回は決算整理の中でも最重要ポイントとなる売上原価の計算について。

商品売買における基本用語

・売価   : 商品の販売金額

・原価   : 商品の仕入れに要した金額

・価格   : 1個あたりの金額。単価。(価額(かがく)は価格×数量でトータルを表す)

・売上原価 : 販売した商品の原価

・売上総利益: 「粗利」のこと。売上総利益=売上高ー売上原価

 

売上原価

売上原価というのは、言い換えると出て行った商品の価額のこと。

 

売上総利益の式は、下記のように置き換えることができる。

売上総利益 = 売上高 ー 売上原価

      = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 ー 期末商品棚卸高

要するに、期首の在庫と当期に仕入れた商品を足して、期末に売れ残った在庫を引くと、当期に出て行った商品の仕入高(売上原価)がわかるということ。

 

実は、決算整理前では、三分法を用いている場合、

・売上勘定(収益)残高:当期の売上高を表す

・仕入勘定(費用)残高:当期商品の仕入高を表す

となっており、仕入時は商品という資産が増えるためにかかった費用という状況になっている。

あるべき姿として売れて出て行った分をちゃんと費用として計上してあげるため、決算整理において、仕入勘定残高を少し修正してあげないといけない。

決算整理で売上原価を計算する方法には、2種類が存在。

  1. 仕入勘定で売上原価を計算する方法 ⇨ しっくりくりし
  2. 売上原価勘定で売上原価を計算する方法 ⇨ うくうしくう

 

1.の方法は、総勘定元帳は「仕入」だが、損益計算書には仕入に対する損益が「売上原価」と表示される。このように、名前が一致していないやり方になるので、欠陥のある方法となる。

 

今回は仕入勘定で計算する方法を見ていく。

 

仕入勘定で売上原価を計算する方法

結論から言うと、「しっくりくりし」をすればいい!!(仕入/繰越商品、繰越商品/仕入の頭を取っている)

「しっくりくりし」の仕訳

「しっくりくりし」については【簿記3級】㉕決算手続 その1(簿記一巡の流れ、財務諸表作成)で軽く学習したが、本記事で深掘りするイメージ。

ちなみに、三分法というのは、「売上(収益)」「仕入(費用)」「繰越商品(資産)」の3つの勘定を使い分ける方法のことで、繰越商品勘定は決算整理時に初登場する勘定科目となる。

 

文章で見るとマジでよくわからないので、例題を何度も解いて手順を自然に身につける方法がいいと思われる。

 

 

【例題1】次の取引を仕訳せよ。なお、売上原価は仕入勘定で算出すること。仕訳が不要な場合は「仕訳不要」と記載せよ。

①4月1日 期首商品棚卸高は1,000円

②4月1日〜3月31日 当期商品仕入高(掛取引)は9,000円

③4月1日〜3月31日 当期商品売上高(掛取引)は12,000円

④3月31日 期末商品棚卸高は2,000円

⑤3月31日 収益・費用の科目を損益勘定に振り替える

 

 

【解答】

①〜③の仕訳は単純かと。期首は特に仕訳する必要がないことを覚えておく。

④の仕訳について、この2行は「しっくりくりし」としてセットで覚えておくべし!

④の1行目は、期首から一年間ずっと放置されていた繰越商品についてはすでに出て行っていると考えて今期の費用として仕入勘定に振り替える。2行目は、当期に仕入れたけども期末に売れ残った物は、仕入(費用)ではなく資産と考えて、資産の勘定である繰越商品勘定に振り替える。こうすることで、仕入勘定が当期に出て行った物の仕入価額を表すようになる。

⑤については、売上(収益)、仕入(費用)の勘定を損益勘定に振り替える仕訳。ここで振り替えられる仕入勘定の金額が、当期の売上原価を表している。

 

 

【例題2】例題1について、仕入勘定、売上勘定、繰越商品勘定への転記を行い、締切せよ。なお、4/1~3/31の取引の日付は期中と省略してよい。

 

 

【解答】

ただ転記するだけなので簡単かと。

仕入勘定の相手科目=損益の金額が売上原価を表していることを意識しておく。

この一連の流れは絶対に覚えておくべし!!

 

 

原価ボックス

売上原価を考えていくときには、原価ボックスという物を作ると便利。ぱっと見で売上原価が出せるようになる。

繰越商品(資産)勘定の総勘定元帳を簡易で表しているイメージ。

資産勘定なので、増えれば借方(左側)、減れば貸方(右側)というイメージ。

記入していく順番としては、

  1. 期首商品は資産として借方 :1,000円
  2. 仕入れたら資産が増えるので借方 :9,000円
  3. 期末に残った商品は次期繰越のために一旦減らすイメージで貸方 :2,000円
  4. 当期出て行った金額(売上原価)は、貸借合計を合わせにいく :8,000円

 

この原価ボックスの枠外にさらに当期の売上高を追記すると、⇩こんな感じで一瞬で売上総利益(粗利)を算出することができる!

 

 

 

 

 

 

仕入勘定で売上原価を算出するときは、決算整理時に「しっくりくりし」をすることを身に染み込ませるべし!

例題や問題集を何回も解いていると自然と身についてくるはず^^

 

  1. 仕入勘定で売上原価を計算する方法 ⇨ しっくりくりし
  2. 売上原価勘定で売上原価を計算する方法 ⇨ うくうしくう

 

 

2.の売上原価勘定で計算する方法は次回で。

 

それではみなさん、ご安全に!

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