【簿記3級】⑮貸倒引当金 その2

こんばんは、アローです^^

今回も貸倒引当金について記事にしていく。

とりあえず前回の復習

貸倒引当金の設定(決算で行う)

売掛金や受取手形などの債権のうち、翌期以降に貸倒れが生じると見込まれる金額は、資産としての価値がないものとみなす。

決算整理時にその金額を見積もって、貸倒引当金勘定(資産のマイナス)として計上する。相手勘定は貸倒引当金繰入勘定(費用)。

貸倒れ時の処理

 

貸倒引当金がない場合

⇨貸倒れ額を貸倒損失勘定(費用)によって処理。

 

貸倒引当金がある場合

⇨貸倒引当金勘定の残高があればそれを取り崩す。貸倒引当金勘定の残高が不足している場合は、その不足額を貸倒損失勘定(費用)によって処理。

 

 

差額補充法

決算時に、前期以前から繰り越されてきた貸倒引当金の残高がある場合、当期末の貸倒引当金を設定する時の処理は、差額補充法という方法で処理される。

差額補充法

貸倒引当金設定額と、設定前の貸倒引当金残高との差額について、補充または取り崩しを行う方法。

補充が必要な場合は貸倒引当金繰入勘定(費用)、取り崩しする場合は貸倒引当金戻入勘定(収益)が計上される。

 

なお、洗替法(あらいがえ)という方法もあるが、実際のP/L(損益計算書)が差額補充法と整合しているので試験では差額補充法しか出てこない。

 

 

【例題1】次の取引を仕訳せよ

3月31日 本日決算日。売掛金残高3,000,000円に対し2%の貸倒れを見積もる。なお、貸倒引当金残高は20,000円である。貸倒引当金の設定は差額補充法による。

 

【解答】

3,000,000  × 2% = 60,000円の貸倒引当金を設定したい。(いくらにすべきかという設定額)

貸倒引当金残高20,000円から60,000円に持っていくために、60,000 – 20,000 = 40,000円を追加で計上してあげる。

 

 

【例題2】次の取引を仕訳せよ(①〜③の各パターンで)

3月31日 本日決算日。期末売上債権残高に対し2%の貸倒れを見積もる。決算日における受取手形残高:800,000円、売掛金残高:1,000,000円である。なお、貸倒引当金残高は、①0円、②20,000円、③80,000円である。貸倒引当金の設定は差額補充法による。

 

【解答】

期末売上債権残高:800,000 + 1,000,000 = 1,800,000円

貸倒引当金設定額:1,800,000 × 2% = 36,000円

①貸倒引当金残高がゼロなのでそのまま36,000円を計上。

②貸倒引当金残高が設定額より少ないので不足分16,000円を追加計上。

③貸倒引当金残高が設定額より多いので、多い分44,000円を取り崩す。取り崩す時の相手勘定は貸倒引当金戻入。

 

 

 

貸倒処理後の回収

貸倒れ処理した後に回収できるパターンが出てくるが、その場合は当期中なのか前期以前の物なのかで処理が変わってくる。

貸倒処理後の回収

 

当期に貸倒処理した債権の回収

⇨当期中に行っていた貸倒処理を取り消す処理。

 

前期以前に貸倒処理した債権の回収

償却債権取立益勘定(収益)で処理。前期以前分で回収できた分は収益にするイメージ。

 

 

当期中と前期以前で処理が変わるので、貸倒の問題が出てきた時には、取引がいつ発生したのかを意識しておくべし。

 

【例題3】次の取引を仕訳せよ

6月1日 商品100,000円を掛けで売り上げた。

7月31日 6月1日の売掛金が回収不能となった。

10月1日 7月31日に貸倒処理した売掛金について、現金で回収することができた。

 

【解答】

回収不能 = 貸倒 という認識でOK。

7月31日:当期中の貸倒は、貸倒損失という費用を計上する。

10月1日:7月31日の貸倒損失(費用)を取り消す処理。回収は現金。

 

 

【例題4】次の取引を仕訳せよ

4月10日 前期からの売掛金50,000円が貸倒れとなった。なお、貸倒引当金残高は80,000円である。

4月30日 4月10日に貸倒処理した売掛金について、現金で回収した。

 

【解答】

これは少し引っ掛け問題。前期からの売掛金だが貸倒処理をしたのは当期なので、回収時は「当期中に行っていた貸倒処理を取り消す」処理。

4月30日:4月10日の貸倒処理(貸倒引当金の取り崩し)を取り消す処理。回収は現金。

 

 

【例題5】次の取引を仕訳せよ

4月30日 前期に貸倒処理していた売掛金80,000円について、本日現金で回収した。

 

【解答】

前期に貸倒処理していたものを当期に回収するパターン。

とりあえず現金は増えてるので借方に現金、前期に貸倒処理していたものの回収は、償却債権取立益(収益)として計上する。前期はもう締まっているので、回収した分は当期に改めて収益を計上するイメージ。

 

 

 

貸倒引当金については以上!

何回も例題を解いて身につけるべし!

 

期中の処理か決算整理の時の処理なのかわからなくなってしまいがちなので、ざっくり下記のことだけでも頭に入れておくと問題を解きやすくなるかも?

決算整理で登場 : 貸倒引当金(資産のマイナス)、貸倒引当金繰入(費用)、貸倒引当金戻入(収益)

期中でも登場  : 貸倒損失(費用) ←実際に貸倒れた場合のみ登場

 

 

 

それではみなさん、ご安全に!

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